目黒の秋刀魚と筍

 落語でおなじみの「目黒の秋刀魚」の舞台は旧碑衾(ひぶすま)町だと言われています。都立大学駅周辺から学芸大学駅周辺にかけての、この地域は江戸時代には衾(ふすま)村と碑文谷村の2つの村からなっていたのです。両村は明治21年(1888年)に合併して碑衾町になったのですが、江戸時代のこのあたりは、鷹狩の場所として知られていたそうです。そして…鷹狩に来たお殿様が、近くのお百姓さんの家から匂ってくる秋刀魚(さんま)を焼く良い匂いに我慢が出来ず、それを食べますと美味い事!美味い事!屋敷へ帰った後もその味が忘れられず、秋刀魚を所望するのですが、屋敷で出される秋刀魚は脂を抜いた物ばかり。到底「秋刀魚の塩焼き」と呼べるような代物では無かったのです。そこでお殿様がしみじみと言った言葉が、『秋刀魚は目黒に限る』と、申したとか・・・そんな鷹狩の出来る内地での秋の秋刀魚は笑い話ですが、春の筍は本当に名物でした。今の目黒区の中でも特にこのあたりは、筍の一大生産地として有名で、その源は安永年間と伝えられ、ピークは大正5年頃と云われています。今では春になると日本全国各地から春の香と共に筍が東京に入ってきますが、昔は筍!と言えば目黒だったんです。『目黒の秋刀魚』そして、『目黒の筍』なのです。

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